電気、電子製品の安全性について思うこと・京セラUL不正認証を受けて

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2021年1月8日、京セラが6つの製品でアメリカの第3者機関ULの認定を不正取得していたことを発表しました。

2020年10月には東洋紡が、PBT樹脂のUL認定を不正取得していたことを発表したばかりです。

私自身もULの認定取得に携わったこともあり、この問題について色々思うことがあったので、書き残しておきたいと思います。

目次

UL規格とは?

UL(Underwriters Laboratories Limited Liability Company)は、主に電気製品や電子機器、その材料や部品の安全性を評価、認定する機関です。

JIS規格などと違って、一企業(元は非営利団体)が判定する規格に過ぎません。

UL規格の重要性

ULは、一企業の規格で法的根拠もありませんが、実質的には強い拘束力を持っています。

電球が広まり始めた1894年に、その安全性を評価するために設立されたアメリカ最古の安全規格です。

少なくともアメリカで使われる電気製品やその部品、材料にはULの認証が必須です。

アメリカだけでなく、世界中で広く使われていて電気製品の安全性の評価、認定のスタンダードになっているのです。

特に火災の原因になる材料の難燃性(燃えにくさ)のUL認定を取得していないものは、電気製品用途に使われることはあり得ないと言っていいくらいです。

電気製品は、漏電や発火による火災の原因にもなる危険性を持っています。

このUL規格、アメリカの一企業が認定しているものではありますが、私たちが安全に電気製品を使えることの大きく貢献しているのです。

京セラで発覚した6品目のうち5品目、東洋紡の樹脂は、この難燃性評価の不正取得でした。

UL審査の仕組み

ULに認証を受けるためには、ULに製品またはサンプルを添えて申請を行わなければなりません。

それを受け取ってULが安全性の試験を行って、認定する仕組みです。

実際に製造販売している製品とULに提出したサンプルが違えば、判定が変わります。

今回発覚したのは、まさにこのパターンです。

品質不適切、品質偽装問題との違い

品質保証
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2016年くらいから多くの企業で品質に関する偽装や不適切な事案が発覚しました。

今回のUL不正取得は、品質問題ほど大きく取り上げられていません。

この違いについて考えてみました。

ULは品質保証とは違う

まず確認しておきたいのは、ULの規格認定は品質保証とは違うと言うことです。

品質保証は、できた製品を検査して検査に合格したものを販売する仕組みです。その検査の結果を改ざんしたり、仕様書と違う方法で検査したり、検査をせずに検査結果を捏造したりすることが不正に当たります。

それを検査に合格しましたと言って販売していたのが、品質偽装問題です。

UL規格の場合は少し違います。

あくまでも、ULに送付したサンプルが規格を満足したというものです。同じ製品でも、性能にばらつきがあります。

ばらついた中で、検査に合格したものだけを販売する品質保証と、ばらついている中の1つだけで判定するULは違うのです。

ですから、ULの規格を満たしていても、実際に購入した製品はUL規格か外れている場合があり得ますし、メーカーもそれを保証していません。

顧客との契約違反と一企業の認定の不正取得

品質偽装は、顧客との仕様書などで規定した契約違反とも言えます。

それに対してULは、一企業の認定作業に不備があったという認識なのでしょう。

マスコミも大きく取り上げませんし、不正取得した企業の罪の意識が薄いのかもしれません。

でも、これまでに説明したようにUL認定は電気製品用途では大きな影響力があります。

仕様書の内容より、UL規格の方が使用されるかどうかに結びつくと言ってもいいでしょう。

その重要なことを嘘をついて売り込んだのと同じことです。

UL問題の波及

品質偽装問題は、三菱自動車の燃費性能の偽装がきっかけでした。

それを受けて、まず自動車業界で内部調査が行われ、偽装や不適切な事案が次々に発覚しました。

その波は自動車業界に留まらず、多くの企業へ波及して行ったのです。

ULの不正取得も同じ道を歩むのではないでしょうか?

多くの企業でULに関する不適切事案がないか調査が行われ、実際にそのような事案が次々に発覚していく可能性があります。

いや、そうなるんだろうな……

UL不正取得が発覚した企業

京セラで発覚したUL不正取得製品は、2016年に吸収合併した京セラケミカルが製造していたものです。

その京セラケミカルは、2002年に東芝ケミカルを買収して設立した会社。元々は東芝ケミカルで製造販売されていたのです。

東芝といえば本来は電気製品メーカーです。安全な製品を作るために、材料メーカーのUL規格を厳しくチェックする立場です。

その東芝系列の東芝ケミカルが材料のUL規格を不正取得していたことが、残念でなりません。

そう言えば、東洋紡がUL不正取得した樹脂も、2010年にDICから譲渡された事業です。

「最初に不正したのはうちじゃないよ」

そう言える製品だから公表したってことはないですよね。

*ULについては、こちらの記事でも解説しています(別サイト)
≫UL規格とは何か? 世界中の電気製品の安全をアメリカの企業が担っている?

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この記事を書いた人

某国立大学大学院博士課程前期修了の工学修士
科学ネタの読み物をメインとした別ブログやってます。
ちびっつ
ストーリー作りが得意で小説家の肩書もあるとかないとか……

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